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zoom RSS 北の夕鶴2/3の殺人 ☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/12/28 16:53   >>

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(北の夕鶴2/3の殺人 / 島田 荘司 / 光文社文庫 2003)

『吉敷竹史シリーズ』の第3巻です。今回は、クイーン警視風に言えば「吉敷竹史自身の事件」とでも言える内容です。
暮れも押し迫った12月28日、警視庁の捜査一課の刑事部屋に待機していた吉敷に、1本の電話がかかります。相手は加納通子――吉敷が5年前に別れた妻でした。盛岡出身の通子は、吉敷との6年間の結婚生活の後、唐突に別れを切り出しました。銀座で開かれた鶴の写真展を見に行ったのが、そのきっかけになったようですが、その理由は不明なままです。離婚した通子は故郷の盛岡には帰らず、釧路で彫金の工房を開き、生計を立てているとのことでした。
電話の通子は、久しぶりに会おうかと言った吉敷の誘いを断り、その日の特急「ゆうづる」で帰ると告げて電話を切ります。気になって上野駅に駆けつけた吉敷は、発車しようとする「ゆうづる9号」のガラス越しに手を振る通子を見届けただけで満足するしかありませんでした。
その後、「ゆうづる9号」の寝台で女性の変死体が発見されます。所轄の青森県警から照会を受けた吉敷は、現場に残された鶴をかたどった彫金スプーンは通子が作成したものだと直感し、年末年始休暇を利用して青森署を訪ねます。対面した遺体は通子ではありませんでしたが、彫金は間違いなく通子の製作物でした。吉敷はほっとしたものの、今度は通子が被害者を殺して逃走したのではないかという疑惑にかられます。通子の郷里の盛岡を訪ねた吉敷は、旧知の喫茶店のママから、数日前に通子が店を訪れ、その時に彼女が書いたという自分宛ての手紙を渡されます。手紙からは、具体的なことはわからないものの、通子が何らかのトラブルに巻き込まれていること、吉敷を巻き込みたくないと思っていることが感じられました。
吉敷は、何としても通子を助けたいと考え、来てはいけないという手紙の文句に逆らって、通子の自宅がある釧路を訪れます。通子の攻防の近所の喫茶店で聞き込んだところ、驚いたことに、通子は10日ほど前に発生した殺人事件の重要参考人として追われているのでした。
通子の部屋は、釧路郊外に建てられた3棟からなる三ツ矢マンションの1号棟の上階にありました。12月20日、通子の部屋で、2号棟に住む藤倉次郎の妻と3号棟に住む藤倉一郎の妻(一郎と次郎は兄弟です)が、通子の台所に置かれていた包丁で刺されて死んでいたのです。部屋の主の通子(特に死んだ女性ふたりと親しかったわけではありません)は姿を消していました。状況を見れば、通子がふたりを部屋に呼んで、なんらかの理由で殺し、逃亡したと考えるのが普通ですが、簡単に説明できない謎がありました。事件があった12月20日は雪深い晩で、管理人の河野老人は、学生たちを集めて管理人室でマージャンをしていました。管理人室は1号棟の唯一の入り口の脇にあり、ドアが開くと激しくきしむため、誰かが通れば必ず気付くはずなのですが、当夜は人が出入りした気配はまったくなかったといいます。おまけに、伝説の“夜鳴石”が不気味な音を発し(“夜鳴石”が鳴くと死者が出るという伝説の通り、半年前には霧の中で住人の高校生が撲殺されています。犯人は、駆け付けた人々とぶつかることなく、煙のように消えてしまっていました)、鎧武者が雪道を歩み去るのが目撃され、写真まで撮影されていました。
釧路署へ行ってみると、幸いにも「寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁」で協力した北海道警の牛越刑事が派遣されてきており、情報を得ることができました。殺されたふたりの夫・藤倉兄弟にはアリバイがあるということでしたが、兄弟の姉・藤倉令子は行方不明でした。吉敷は、「ゆうづる」で殺されていたのは藤倉令子ではないかと考えますが、牛越に告げるのは控えます。また、容疑者の通子が自分の元妻だということも、牛越に打ち明けることはできませんでした。牛越の話では、数日のうちに通子の逮捕状を請求する予定だといいます。
その後、河野や学生たちの話を聞いた吉敷は、彼らが嘘をついたり勘違いをしている可能性は薄いと感じます。続いて吉敷は、藤倉兄弟に会いに行きます。兄の一郎はスナックのマスター、弟の次郎はカメラマンだということですが、とても10日前に妻を亡くしたようには見えない態度で、吉敷には藤倉兄弟が保険金目当てで妻を殺したのではないかと考えます。ところが、通子のことで冷静さを失っていた吉敷は、証拠もなしにふたりが犯人だと決めつけ、立ち回りを演じて次郎を殴り倒してしまいます。
その後、ホテルに帰ろうとした吉敷は何者かに襲われ、立てないほどのけがを負ってしまいます。藤倉兄弟が待ち伏せしていたことは明らかでしたが、それよりも吉敷には通子の行方のほうが心配でした。新婚旅行で湖巡りをしたことを思い出した吉敷は、発熱と痛みに苦しみながら、レンタカーを借りて屈斜路湖、阿寒湖などの周囲のホテルをしらみつぶしに回り、通子の情報を得ようとします。諦めかけたころ、前日に通子が宿泊したホテルを発見しますが、通子は二人組の男が運転する車に乗って宿を発った後でした。通子が藤倉兄弟に手に落ちたと直感した吉敷は、満身創痍の体に鞭打って、ついに藤倉兄弟に追いつきますが……。

オススメ度:☆☆☆☆




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