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zoom RSS 歪んだ果実 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/11/19 04:40   >>

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(歪んだ果実 / ジョナサン・ケラーマン / 扶桑社ミステリー 1994)

小児精神科医アレックス・デラウェアを主人公とするメディカル・サスペンス・シリーズの第2作です。デビュー作の第1作「大きな枝が折れる時」も、先立って扶桑社ミステリーから刊行されています。ストーリーは独立していますが、本作は前作の15ヶ月後という設定で、前作に関する言及もありますので、順番に読むほうが自然だと思います。解説によれば、本シリーズはクライトンの「緊急の場合は」や、ロビン・クックの諸作品の伝統に連なりつつ、新風を吹き込んだメディカル・ミステリーとのことです。とはいえ、本書を手にとったのは、某ホラー小説ガイドブックで「サイコホラーの傑作」と紹介されていたからです。90年代当時は、「サイコ××」と銘打てば何でも売れるという風潮があり、それに乗じた惹句だったのでしょうが、実際に読んでみると、超自然的な要素はなく(怪しげなカルトは出てきますが)、サスペンスはありますが“ホラー”ではなく、そこそこよくできたメディカル・サスペンスだったという次第。アレックスのキャラクターや行動を見ると、医学ミステリーというよりは、松岡圭祐さんの「カウンセラー」シリーズに近い気がします。

主人公で語り手のアレックス・デラウェアは、まだ若い小児専門の精神科医ですが、ある事情によって現役を引退しており、事情があって持ち込まれる事件に対して専門知識を生かして協力しています。恋人のロビンと同棲中ですが、現在ロビンはビジネスのため日本へ出張しており、アレックスは寂しい日々を過ごしています。
そんな折、かつての勤務先であるウェスタン小児病院の医師ラウールから、協力を要請する電話が入ります。ラウールの患者に、小児がんに侵された5際の男の子がいるのですが、両親が治療に協力してくれないので、カウンセラーとしての立場から説得してほしいというのです。エキセントリックで直情型のラウールがまくしたてる話に閉口しながら(笑)、アレックスは患者ウディ・スウォープや、その家族と面談しようとします。ウディは5歳にしては賢い男の子で、慎重で粘り強いアレックスに心を開いてくれますが、両親が次にいつ現れるのかはわかりません。ラウールや担当ソーシャルワーカーのベヴァリーが言うには、果樹園を経営しているという父親は科学知識が豊富で、医師などの専門家に対しても自分の意見を通そうとする頑固な人物だそうです。一方、母親は無口で、すべて夫に従っている印象でした。また、ウディの姉で19歳になるノーナは男が放っておかないような淫蕩な美女ですが、夜にしか見舞いに現れず、黙って弟の寝顔を見ているだけだといいます。ラウールによれば、最初スウォープ夫妻は治療に積極的でしたが、“タッチ”という新興宗教グループの男女の訪問を受けた後で態度が一変し、非協力的になったとのことです。
翌朝、ウディが病室から誘拐されたというニュースがもたらされます。レントゲン技師に化けた何者かが夜勤の看護師を騙してウディを連れ去ったのです。ラウールは、両親か、二人に頼まれた“タッチ”の関係者がウディを連れ出したと考え、同僚のヴァルクロア医師を監督不足として非難しますが、ヴァルクロアは肩をすくめるばかりでした(彼は、“タッチ”の信者たちと親しく、かれらのコミュニティに出入りしているという噂がありました)。
アレックスはベヴァリーを連れて、スウォープ夫妻が泊っているモーテルを訪ねます。チェックアウトはしていないとのことでしたが、部屋に入ってみると、スウォープ夫妻もノーナも姿はなく、荒らされた室内には血痕が残っていました。アレックスは、友人である殺人課のマイロ刑事に連絡し、駆け付けて事情を聞いたマイロは、できるだけの協力を約束してくれます。とはいえ、まだ殺人も誘拐も明確になっていない現時点では、スウォープ一家を行方不明者として手配する程度しか、できることはありませんでした。
アレックスは、部屋に残されていたカードから、ノーナがいかがわしいメッセンジャー・サービス(具体的に言えば、出張風俗業)に登録していたことを知り、マイロと一緒にメッセンジャー・サービスに聞き込みに行きます。結果、ノーナは才能があったけれども、やりすぎなところもあり、行方不明になったらなったで、特に困らないと聞かされ、彼女とコンビを組んで営業していた男の連絡先を知ります。そのダグラスという男は、マッチョでイケメンですが精神的に幼く(つまりはアダルト・チルドレン)、ノーナの性格については教えてくれましたが、現在の居所は知らないといいます。
アレックスは、カルト研究の専門家から“タッチ”に関する情報を集め、教祖のノーブル・マシアスが、本名はノーマン・マシューズという腕利きの弁護士だったことを突き止めます。その後、射殺されたスウォープ夫妻の遺体が発見されますが、ノーナとウディは見つかりませんでした。頭に血が昇ったラウールは、ウディは“タッチ”のコミュニティ内に囚われていると信じ込み、車で“タッチ”の敷地に突っ込んで逮捕されてしまいます。アレックスは、身元引受人としてスウォープ一家が住んでいた田舎町ラ・ヴィスタを訪れますが、ラウールは留置場を出ようとしません。おとなしくしていることを条件にラウールを残していくことを保安官フートンに承知させたアレックスは、フートンや地元の弁護士マイモンから様々な情報を聞き出します。
帰宅したアレックスは、夜中に銃撃を受けますが怪我はなく、代わりに庭で男の射殺死体が見つかります。死体の主は、ある離婚裁判でアレックスが精神鑑定を行った、妻子を虐待していたムーディという男で、関係者に脅迫を繰り返していた人物でした。現場を見たマイロは、銃撃犯が狙ったのはアレックスで、闇の中で背格好が似ているムーディ(状況から、アレックスの自宅に放火しようとしていたことは間違いありません)をアレックスと見間違えたのではないかと推測します。アレックスはマイロの忠告に従って身を隠しますが、数日後、ヴァルクロアが変死し、一時期ヴァルクロアと深い仲だったというベヴァリーから、ヴァルクロアが病院内でドラッグを売りさばいていたことを知らされます。
マイモン弁護士の助言に従ってスウォープ一家が住んでいた空家に侵入したアレックスは、残されていた日誌から、驚くべき事実を知り、ある家族を中心にして起きた悲劇を突き止めるのでした。そして、ウディを見つけ出したアレックスに、危機が襲います。

オススメ度:☆☆☆




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