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zoom RSS レスター・リースの冒険 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/09/12 22:36   >>

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(レスター・リースの冒険 / E・S・ガードナー / ハヤカワ・ミステリ文庫 1984)

ガードナーが生み出したキャラクターと言えば、『ペリー・メイスン・シリーズ』の弁護士メイスン、秘書デラ・ストリート、探偵ポール・ドレイクの3人組や、別名義(A・A・フェア)のバーサ・クール女史とドナルド・ラム君の凸凹コンビが著名ですが、それ以外にも20人に及ぶシリーズ・キャラクターを創造しているのだそうです。その中でも、本書の主人公レスター・リースは、メイスンものが書かれる以前からパルプ雑誌に数十編が発表されていた人気シリーズだそうです。先日読んだ「魔術ミステリ傑作選」にも、短編「抜く手も見せず」が収録されていました。

レスター・リースはハンサムで趣味の良いディレッタントで、盗難事件などの犯罪記事を新聞で読んでは、安楽椅子探偵よろしく謎を解き、その犯人が盗み出した獲物をまんまと横取りしては、手数料(笑)を差し引いて、自らが設立したチャリティー基金に寄付するという、アルセーヌ・ルパンやセイント(サイモン・テンプラァ)と志を同じくする義賊です。警察のアクリー部長刑事は、いつかリースの尻尾を捕まえてやろうと鵜の目鷹の目で、部下のビーバー刑事をリースのアパートメントに従僕として住み込ませ、リースの身辺をスパイさせています。しかし、リースはとうにお見通しで、ビーバーにスカットル(“底抜け”という意味)という仇名をつけ、買い物や面倒な調査、連絡にいいようにこき使っては、おとりのつもりでビーバーが漏らす警察の情報を逆手に取っては、商売(笑)に精を出しています。毎回、リースの活躍で犯人は逮捕できたものの、盗品をかっさらわれて地団太を踏むアクリー部長刑事、それを垣間見て密かに留飲を下げるビーバー(アクリーは、失敗は部下のせい、手柄は自分のものにする、かなりのパワハラ上司です)というのが、定番になっています。
本書には、4作品が収められています。

「キャンデーだまし」:宝石デザイナーのミルサップ氏を襲って時価100万ドルのルビー18個を奪った強盗は、追跡されて菓子屋に逃げ込んだ挙句、包囲された警官隊に射殺されます。しかし、18個のルビーのうち12個が見つからないままでした。スカットルに意見を求められたリースは、ルビーは菓子屋でこしらえているチョコレートキャンデーの中に隠されたのではないかと語り、スカットルに命じて菓子屋のキャンデーを買い占めさせます。リースが強盗が隠したルビーを横取りしようとしていると考えたアクリー部長刑事は、リースがキャンデーを贈ったカップルを尾行させますが、その隙にリースはミルサップを訪ねて、ある取引を持ち掛けるのでした。

「鵜をまねるカラス」:商店街を散歩していたリースは、奇妙な事件に遭遇します。ビルの上階の毛皮店で悲鳴が聞こえ、女性が高価な毛皮のケープを投げ落としたのです。周囲のビルからは野次馬が顔を出し、警官が駆けつけますが、特に犯罪が行われたわけでもなく、それだけのことでした。興味を持ったリースは、毛皮店の向かいのビルの精密機器設計設備会社に注目し、重要な設計図面が騒ぎのどさくさに紛れて金庫から消えていたことを突き止めます。そのことをスカットルから知らされたアクリー部長刑事は、リースに事件を解決させて、最後の最後で設計図をリースから奪い取ろうと目論みます(タイトルに倣って鵜飼いになぞらえれば、アクリーは鵜匠でリースは鵜、設計図が魚というわけです)。しかし、この場合、鵜が鵜匠よりもはるかに賢いことは明らかでした(笑)。

「モンキー・マーダー」:スカットルに勧められてリースが読んだ事件記事は、インドから連れて来られたペットのサルが、何者かに腹を切り裂かれて殺されたというものでした。飼い主のメインウェアリング氏はインドやアフリカで過ごしており、密輸団との関係や、インドのハヌマーン神殿からエメラルドが消えた事件との関連が取りざたされています。メインウェアリングは、サルを殺したのはインドから追ってきたサギー教徒(インディ・ジョーンズの映画「魔宮の伝説」で有名ですね)だと言い張っていますが、リースは、メイウェアリングの付き添い看護婦が四六時中ガムを噛んでいたことに注目します。スカットルに命じて、ガムを噛む習慣がある美人を秘書として雇ったリースは、電車でメインウェアリングのいる町へ向かいます。当然ながら、アクリーも刑事の一群を連れて、リースを追いますが、車室に踏み込むと、そこにいたのはガムを噛んでは噛みかすをテーブルになすりつけている秘書だけでした。ガムの中からエメラルドが見つかり、勝ち誇ったアクリーですが、もちろんそれは模造品で――。

「千ドルが一ドルに」:クリック・ファスト・シャッター社のボイエン社長は、自社が関与する特許訴訟に勝つため、有能な私立探偵ベッチャーの助言を聞きつつ、判事のマンドビルに2万5千ドルの賄賂を渡すことにします。手渡し役のオルコットが25枚の千ドル札が入った封筒を判事に渡したとたん、刑事たちが現場に踏み込みますが、封筒の中身は25枚の1ドル札になっていました。逮捕されたオルコットの写真に写っていた白い羽根に目を止めたリースは、売れない中年女優ランダーマン夫人を雇うと、偏屈で脚と目が不自由な夫に変装し、ベッチャーが滞在しているホテル(問題の賄賂の受け渡しが行われたのも、このホテルでした)に部屋を取って、ベッチャーに宝石類を盗難から守ってくれるよう依頼します。もちろん、リースの真の狙いは、消えた2万5千ドルでした……。

オススメ度:☆☆☆




レスター・リースの冒険 (1984年) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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