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zoom RSS 秘宝・青銅の蛇を探せ(上・下) ☆☆

<<   作成日時 : 2017/08/13 22:58   >>

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(秘宝・青銅の蛇を探せ 上・下 / ティム・ラヘイ&グレッグ・ディナロ / 扶桑社ミステリー 2005)

裏表紙の紹介文には「インディ・ジョーンズを超える壮大なスケールで、全米を震撼させた超大型冒険伝奇アクションシリーズ」と書かれており、期待を抱かせますが、まったくの看板倒れでした(^^

まず、ストーリーを紹介しましょう。
行動派の青年考古学者マイクル・マーフィーは、プレストン大学で教授を務める傍ら、福音派キリスト教徒という自分の宗教的立場から、聖書の記述が真実である証拠の古代遺物の発掘・研究をライフワークとしています。これまでも、メトセラと名乗る謎の老人の挑発とヒントを受けて、いくつもの貴重な古代遺物を発見していました。今回も、メトセラの仕掛けた死のゲームを切り抜け、聖書の預言者ダニエルにまつわる内容が書かれているらしいパピルスの巻物を入手します。
やはり考古学者の妻ローラ、愛弟子の女子大生シャリらの協力を受けても、パピルスの解読は進まず、マーフィーはついに、ワシントンの『自由の羊皮紙財団』に所属する古代言語学の天才科学者、イシス・マクドナルド博士に解読を依頼します。イシスの解読によれば、パピルスはカルデア人の司祭ダクリという人物によって書かれたもので、そこにはモーゼが作成して、その後バビロニアのネブカドネザル王が破壊したと言われる“青銅の蛇”――癒しの力を持つと言われる聖遺物――の隠し場所の手がかりが隠されているようです。“青銅の蛇”は頭と胴体と尻尾の3つに砕かれ、ダクリの手によって、未来のバビロンが復活する日のために隠されたといいます。
マーフィーは、古代地図を読み取る天才であるローラと共に、サマリアへ赴き、旧友レヴィに紹介された有力者シークの協力を得て、砂漠で蛇の“尾”を捜索しますが、命を狙われ、かろうじて基地を脱して“尾”を持ち帰ることに成功します。
一方、“ザ・セブンズ”(『七つの大罪』にちなんでいるのでしょう)という秘密結社が、バビロンの栄光を地上に取り戻すべく、“青銅の蛇”を入手しようとしていました。世界最大の通信企業バリントン・コミュニケーションズの社長バリントンを脅迫して手先としたザ・セブンズの一員バーソロミューは、腹心の殺し屋カロンに命じて、マーフィーの属する福音派教会を陥れる陰謀を巡らせます。
国連ビルを舞台にテロ予告をやってのけたタロンは、プレストンへ赴くと、シャリの兄で刑務所を出たばかりの不良青年チャックを手中に収め、教会で爆弾の爆発事故を引き起こし、教会の地下室でテロリストが爆弾を作っていたという事件を演出します(死亡したチャックと、重傷を負って発見されたマーフィーの教え子でシャリの友人ポールが、“福音派教会のテロリスト”でした)。おまけにタロンは、たまたま現場に居合わせたローラまで毒牙にかけてしまいます。そして、バーソロミューは配下のテレビチャンネルのレポーター、ステファニーを送り込んで、福音派教会(およびマーフィー)を告発する大々的なキャンペーンに打って出るのでした。さらに、タロンは『羊皮紙財団』に保管されていた蛇の“尾”を奪い去ってしまいます。
喪失感に打ちひしがれるマーフィーですが、イシスやシャリ、友人たちの励ましで立ち直ると、“青銅の蛇”の残りの二つの部分を求めて、中東のタルカシールの地下迷宮やエジプトのピラミッドを探索し、“胴体”と“頭”を次々に見つけ出していきます。そして、最後の発見現場であるピラミッドに現れたタロンと対決しますが、相手を殺すには至りませんでした。
“ザ・セブンズ”とマーフィーとの確執は、次巻以降に続くことになります。

以上がストーリーなのですが、どこかで見たような設定、どこかで見たような主人公、どこかで見たような協力者、どこかで見たような殺し屋、どこかで見たような黒幕、どこかで見たような謎、どこかで見たような陰謀、どこかで見たような冒険、どこかで見たような“引き”――と、新味がどこにも感じられません。おそらく、冒険伝奇アクションのベストセラーを書くためのテンプレートを使っているのだと思いますが、結局、インディ・ジョーンズとロバート・ラングドン(「ダ・ヴィンチ・コード」の主人公)シリーズのいいとこ取りをしようとして失敗し、単なる二番煎じに終わってしまった、ということでしょうか。
上記以外に、本作の最大の欠点は、テンポの単調さと、まったく“間”がないことです。キングやクーンツ、シモンズといった達者なストーリーテラーの場合、物語のテンポに緩急をつけて、読者はなかなか進まない展開にやきもき、いらいらしたり、いきなりスピードアップしたジェットコースター的展開に目を白黒させたり、提示された謎に主人公と共に考え込んだり、とにかく作品の世界に没入して堪能することができます。ところが、この作品は、謎が現れても数ページ先には解かれてしまいますし、ただ書き割りの中で動き回っているキャラクターたちをながめているだけで、どんどん先に物語が進んでいってしまい、あっさりラストを迎えて「へ? もう終わり?」という物足りなさだけが残ってしまいます。映画のノベライゼーションなら、それでもいいのかもしれませんが、純粋な小説としてとらえるならば、途中ではフラストレーションが溜まり(キングの場合、フラストレーションが溜まり過ぎるきらいはありますが(^^;)、ラストではそれに応じた壮大なカタルシスが訪れる(クーンツやシモンズは、まさにそういった展開になりますから、トリップしたかのような読後感を堪能できるわけです)といった感情の大波小波が味わえなければならないと思います。
この『バビロン・ライジング』シリーズは、全5巻が構想され、原書は現在4巻まで出ているようです。また、邦訳版は第2巻の「ノアの箱舟の秘密」までで止まっていますが、やはり思ったより売れなかったのが原因かもしれません。それなりの暇つぶしにはなりますが、それだけです。

オススメ度:☆☆









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