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zoom RSS ジェニーの肖像 ☆☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/08/12 20:52   >>

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(ジェニーの肖像 / ロバート・ネイサン / 創元推理文庫 2005)

ハヤカワ文庫版の「ジェニーの肖像」を読んだのは、高校生のときでした。それから元号が変わり、新たな世紀に入り(笑)、再び新訳で読めるようになりました。本書は「ジェニーの肖像」のほか、同じテイストのリリカルなファンタジー「それゆえに愛は戻る」も併録されています。どちらもストーリーはシンプルで、雰囲気を味わうべき作品ですので、ストーリーを紹介するだけでは、その良さは伝えられないように思いますが、まあともかく。

「ジェニーの肖像」:1938年の冬の夕暮れ、売れない貧乏な青年画家イーベンは、自分の才能や人生に不安を抱えながら公園を歩いている途中、石けり遊びをする一人の幼い少女と出会います。ジェニーと名乗る少女は、両親は軽業芸人だと語り、ふたりが出演している劇場の名前を言いますが、その劇場は何年も前に取り壊されていました。そのままジェニーと別れたイーベンですが、彼女の面影が忘れられず、簡単なジェニーのスケッチを描きます。そのスケッチが画商のマシューズ(と、絵にうるさい店員ミス・スピニー)に売れ、イーベンの運は上向き始めます。タクシー運転手ガスの口添えで、大衆食堂のアルハンブラに壁画を描かせてもらえることになり、食事もとれるようになりました。
数週間後、イーベンはジェニーに再会しますが、短い間にジェニーは大人びて、数年は成長したかのように見えました。不思議に思ったイーベンは、顔の広いガスに頼んで、ジェニーとその両親について調べてもらうことにしますが、軽業師のアップルトン夫妻は1914年に転落事故で亡くなっていました。その後、十代になったジェニーの訪問を受けたイーベンは、ジェニーをモデルに肖像画を描き、マシューズからは美術館ものだという高評価を得ます。こうしてイーベンの生活は安定し、画家としての将来も明るい兆しが見えてきます。しかし、ジェニーは常に予告なく現れ、いつのまにか去っていくのでした。そして、今や成年に達したジェニーはフランスへ留学することになったと告げ、ふたりはガスのタクシーで郊外に出かけると、1日のピクニックを楽しむのでした。
その後、イーベンは画家仲間のアーンに誘われて海辺の村で過ごすことになりますが、強大なハリケーンに襲われ、滞在していた小屋が流されそうになります。避難しようとしたとき、不意に出現したのはジェニーでした。しかし、濁流の中、ふたりは離れ離れになり、イーベンはジェニーの運命を悟るのでした……。

「それゆえに愛は戻る」:童話作家のレニーは、若く献身的な妻トリーナを病気で亡くし、幼い二人の子供トリーシャとクリスが残されました。3人は海辺の小屋で、貧しいながらも楽しい暮らしを続けています。ある日、海へ泳ぎに出かけたクリスが溺れかけ、見知らぬ若い女性キャスリーンに助けられます。その場にいたトリーシャによれば、キャスリーンは海藻におおわれ、まるで海からやって来たかのようでした。
その後、キャスリーンは偶然であるかのように何度もレニーと子供たちの周囲に出没し始めます。しかし、近所のベテラン漁師ハリーに尋ねても、キャスリーンの素性はわかりませんでした。少なくとも、この地域に昔から住んでいた人物ではなく、最近になってどこからか流れてきたのだろうということで、ハリーはキャスリーンのことを胡散臭く思っているようでした。それでも、知り合えば知り合うほど、レニーはキャスリーンの中に亡きトリーナの面影を見出し、否応なく惹かれていきます。やがて、レニーの勧めもあって、キャスリーンは空家だったレニー家の隣の小屋へ引っ越してきます。キャスリーンは、海から拾ってきたという宝石や古いコインを売って、生活の足しにしているようでした。
キャスリーンがレニーの友人や隣人たちとも打ち解けてきたころ、レニーは思い切ってキャスリーンにプロポーズします。承諾の返事をするキャスリーンですが、その笑顔は寂しげでした。キャスリーンには、自分の運命がわかっていたのです。そして、ふたりの結婚式の夜、キャスリーンは姿を消します。永久に――。

オススメ度:☆☆☆☆☆




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