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zoom RSS 長い暁 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/08/29 21:56   >>

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(長い暁 / 眉村 卓 / ハヤカワ文庫JA 1982)

作者の代表作とも言える『司政官』シリーズの第2作品集。第1作品集「司政官」とともに、ハヤカワ文庫JAから出ていましたが、現在は創元SF文庫で「司政官 全短編」として、作中の時系列順に整理されて再刊されています。中短篇以外に、最大の長篇「消滅の光輪」全3巻(近日登場)と、文庫未収録の「引き潮のとき」が書かれています。

遥かなる未来――人類は銀河に広く進出し、それこそ星の数ほどの植民惑星を築いています。植民に適した地球型の惑星の中には、先住者がいる惑星もありましたが、拡張期には軍部が圧政を敷き、先住者は虐げられていました。しかし、行き詰った軍政に代わって、新たに「連邦経営機構」が植民惑星の統治を司ることになり、各惑星に送り込まれたのが、為政者として特別の訓練を受けた「司政官」と呼ばれるエリート官僚たちでした。各惑星にひとりずつ配置される司政官は、配下のロボット官僚たちを使って、先住者たちと植民者との融和と共存共栄を図り、惑星全体の発展のために全権を振るって働きます。しかし、長い歴史の中で、司政官と官僚組織そのものが腐敗するケース、弱体化するケースなどもあり、常にスムーズに機能していたわけではありません。そのような流れを、アシモフのファウンデーションシリーズ(特に初期3部作)を意識して描くのが、このシリーズです。そのため、特定の主人公がいるわけではなく、共通の背景と役割を持つ様々な名前の司政官が、各作品の主人公を務めます。
本書には、中篇(というか、短めの長篇)「長い暁」と、短篇2作が収められています。

「照り返しの丘」:司政官制度がようやく軌道に乗り始めた時代、それまで惑星テルセンを統治していた連邦駐留軍が撤退したあと、同惑星に赴任した司政官ソウマ・PPK・ジョウは、テルセンの謎を解かねばなりませんでした。この惑星には、滅亡した先住者が遺した様々なロボット(S=テルセアと呼ばれています)が今も存在しており、人類には理解できない行動原理に基づいて、今も活動を続けていました。彼らが管理する立入禁止エリアに入り込もうとした駐留軍は効果的に無力化され、撤退せざるを得なかったのです。そして今、司政官ソウマは、新たなアプローチでS=テルセアの抱えた謎に挑もうとしていました。

「扉のひらくとき」:シゲイ・PPK・コウは、経験を積んだ司政官で、今回の惑星ゼクテンは三つ目の赴任先でした。最初は希望と誇りに燃えていたシゲイですが、大過なく司政官の仕事をこなすうちに、空しくなったりイライラしたり、司政官にはあるまじき情緒不安定を呈するようになっています。今、ゼクテンでは、数年に一度の先住種族ゼクテアの民族大移動が起きようとしていました。部族ごとに新たな土地を目指す移動の時だけは、普段は温和なゼクテアが狂暴化し、小競り合いは数知れず、大きな犠牲が出るのでした。今回の移動を見守るうち、シゲイは、いつもと違う動きが始まっていることに気付きます。司政庁が存在する島にもゼクテアが押し寄せてくることを知ったシゲイは、決断を迫られます。

「長い暁」:惑星ミローゼンは、多島海が広がり、それぞれの島に別々の文化や風俗を有する先住者たちが済んでいるという不思議な土地でした。駐留する連邦宇宙軍も、閉鎖的な先住者とのコミュニケーションが取れずに苦労しています。司政官として赴任したヤトウ・PPK・キーンですが、司政官制度は発足したばかりで、ミローゼンにおける彼の立場はオブザーバー的なものに過ぎませんでした。それでも、ヤトウは司政官そのものの存在感を高めるべく、配下のロボット官僚たちを駆使して、軍を刺激しないよう、慎重に行動しています。難破した先住者2名を救出したことから、その先住者が所属するコミュニティと接触ができると考えた軍は、士官のヘンゼルBBが率いる小人数の部隊で、先住者を彼らの村であるタガノヤへ船で向かいます。ヤトウは、客員の立場で、忠実なロボット官僚SQとともに同行します。首尾よく(というか、なかば強引に)コミュニティの客となった一行は、先住者の文化や制度をおぼろげながら理解していきますが、奇妙な土地争いに巻き込まれ、タブーを犯した罪で、処刑されそうになります。ヤトウの命令を受けて一行を救ったのは、目立たず情報を集め続けていたSQでした。

オススメ度:☆☆☆




長い暁 (1982年) (ハヤカワ文庫―JA)
早川書房
眉村 卓

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