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zoom RSS ルナ・ゲートの彼方 ☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/07/09 13:23   >>

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(ルナ・ゲートの彼方 / ロバート・A・ハインライン / 創元推理文庫 1989)

ハインラインのジュブナイル長篇の1冊。
解説によれば、ハインラインは1947〜1958年の12年にわたり、クリスマス毎にジュブナイル長篇を発表していたとのことで、本書は9冊目です(その他は順に「宇宙船ガリレオ号」、「栄光のスペース・アカデミー」「レッド・プラネット」、「ガニメデの少年」(未読)、「栄光の星のもとに」、「宇宙の呼び声」(未読)、「スターマン・ジョーンズ」(未読)、「ラモックス」「宇宙に旅立つ時」「銀河市民」「スターファイター」。あと3冊、未読が残っています)。
他の作品にも見られる傾向ですが、ジュブナイルでありながら、主人公が経験する内容は相当にハードです。

未来の人類は、人間でも物体でも超遠距離を一瞬で転送できるラムズボタム・ゲート(通称“ゲート”)が発明されたおかげで、銀河に散在する地球型惑星に次々と植民地を築き、繁栄を謳歌していました。人口問題も政治的・宗教的対立も解消されています。そんな中、ハイスクールや大学では、未知の惑星を探検・開発するためのスキルを持った人材を養成すべく、“サバイバル・コース”の実習が行われています。
パトリック・ヘンリー・ハイスクールのロッド・ウォーカーも、“上級サバイバル・コース”の実習に参加することになります。担当講師のマトスン博士は、ロッドを参加させることに気が進まないようでしたが……。ロッドが帰宅すると、アマゾン部隊の大尉として軍務についている姉ヘレンが、珍しく在宅していました。サバイバル・コースへの参加を告げ、アドバイスを求めるロッドに対し、ヘレンは重大な事実を告げます。父が不治の病に侵されており、未来の医学の発展に望みを託して、母と共に20年のコールドスリープに入る予定だというのです。数週間にわたるコースから帰って来た時には、両親に会えるのは20年後という次第――ヘレンから決断を任せられたロッドは、いつも通りに家を出て、ハイスクールに向かうのでした。
最初の関門(不適切な装備を準備したり、適切な装備が不足していた参加者は、出発前に不合格となります)をクリアしたロッドは、現地でパートナーとなる約束をした親友ジミー、ズールー族出身の女戦士キャロライン、恋人同士のボブとカーメン、獰猛な犬と巨大な銃を相棒とするマッチョなヨハンなど、同級生たちと共に、時間差でゲートをくぐり、未知の惑星へ到達します。ここで様々な敵や苦難を切り抜け、帰還用のゲートが開くまでの数週間を単独(または、めぐり合えた場合は仲間たちと)生き延びることが、参加者に与えられた課題でした。唯一のヒントは、「ストーバーに注意せよ」という警告ですが、ストーバーが何を意味するのかは、自分で確かめなければなりません(危険な動物なのか、自然現象なのかも不明です)。また、このコースにはロッドの学校以外に、テラー大学を含めた数校の生徒たちが参加しています。
初日、巨大なライオンに似た猛獣に追われて木に登ったロッドは、不安なまま一夜を明かし、ジミーを探して歩き始めますが、小川で水を飲もうとしたとき、何者かに殴られて気を失い、気が付いた時には装備をすべて奪い取られていました。残っていたのは、姉から預かったナイフだけで、こちらは隠し持っていたために無事でした。
ナイフだけを頼りに野生児のようなサバイバルを続けたロッドは、ポンセ・デ・レオン学院から参加したジャック(ジャッキー)と出会い、予定された帰還用のゲートが開かなかったことを知らされます。技術的な原因なのか、事故なのか――まったく情報がない中、コースに参加した生徒たちは、次にゲートが開いて迎えが来るまで、この未知の惑星で生き延びなければならないわけです(すでにヨハンは猛獣?に襲われて相棒の犬もろとも死体となっていました)。ジャックが見つけていた洞窟に落ち着いたロッドは、生き残った生徒たちを探そうとし、熱病で衰弱しているジミーを発見します。その後も、ボブとカーメンのコンビ、キャロラインをはじめ、ロッドとジャックが上げた狼煙を見た生徒たちが、続々と集まってきます。
しかし、大学生と高校生との間ではジェネレーションギャップが存在し、リーダーとして振る舞うロッドに不満を持つ学生もいました。暴力的で勝手気ままなマゴーワン兄弟をボスとする一派との間では、命を懸けた戦いが起きそうになりますが、ジャッキーとキャロラインの飛び道具を使った機転で事態は収拾され、マゴーワン一派は追放されます。一方、大学で政治学を先行していたクーパーは、改めて民主主義でリーダーを決めるべきだと訴え、選挙の結果クーパーが新リーダーに選出されます。それに不満を持つジミー、ジャッキー、キャロライン、ボブ、カーメンらは、ロッドを連れてグループを抜け、新たな住処に落ち着こうと決意しますが、肝心のロッドが反対し、その後もボブとカーメンの結婚、カーメンの妊娠など、様々な事情が重なって、結局は脱出計画は流れてしまいます。
人口が増えた居留地は、ジャッキーの洞窟の真下を流れる川の両側に広がっていきますが、あまりにも開放的で無防備だったため、ロッドは川上と川下に石垣を築くことを提案しますが、クーパーは取り合いません。それでもロッドは、とり安全な場所への移住を主張し、クーパーの副官ロイとともに、移住先を探しに出かけますが、格好の洞窟群を発見した際にロイが脚を骨折したため、彼が完治するまで数カ月をそこで過ごさねばなりませんでした。
その間に季節が変わり、野生動物の大移動が始まると、居留地の事態は急速に悪化していました。特に、それまで動きが鈍く“うすのろジョー”と呼ばれていた小型の齧歯類が狂暴化して、集団で人々に襲い掛かってきます(この小型動物こそ、警告されていたストーバーに違いありませんでした)。何人もの犠牲者が出たあと、帰還したロッドは直ちに移住を主張しますが、クーパーも他の住民も、この地に根差してしまったことを根拠に、移住を拒否します。居留地(今や“市”と呼ばれるようになっています)の政治改革提案を伴うクーパーの説得にロッドは折れ、警備隊長として市の防衛に全力を注ぎます。そして、ついにロッドは全員に推されて市長となります。
そして数年後、ようやくゲートが復旧し、大人たちが“遭難した子供たちを助けに”やってくるのですが……。

解説では、ヴェルヌの「二年間のバカンス」のSF版と評されており、まさにその通りなのですが、中盤から終盤にかけての状況とロッドの活躍と苦悩は、ニーヴン&パーネル&バーンズの「アヴァロンの闇」を思い出してしまいました。

オススメ度:☆☆☆☆





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