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zoom RSS 妖精の女王1 ☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/05/17 22:43   >>

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(妖精の女王1 / エドマンド・スペンサー / ちくま文庫 2005)

16世紀末の英国の詩人スペンサーの代表作である大長編叙事詩「妖精の女王」の、ちくま文庫版全4巻の第1巻です。
本作は当時のイングランドのエリザベス女王に捧げられたもので、タイトルの「妖精の女王」はエリザベス女王を指し、「妖精の国」は故郷イングランドを、登場する「妖精の騎士たち」はイングランド出身の騎士を表しています。別に「指輪物語」のようにエルフやドワーフ、ホビットなどが騎士となって登場するわけではありません。
本書は、遍歴する騎士たち(アーサー王の円卓の騎士たちが中心)の冒険を通して、人間として重要な要素――神聖さ、節制、貞節、友情、正義、礼節といったものを、寓話として描きます。作中には様々な引用がなされ、元ネタは聖書やギリシャ神話が主ですが、当時のイングランドが置かれていた状況を表す隠喩も各所にちりばめられています(役者による丁寧な注釈が付されていますので、すんなりと理解できます)。
すべての詩は一連が9行からなっており、1篇は数十の連で構成されていますが、計算しつくされた凝った構成を有しています(注釈を読まないと、その壮大な構想がわからないのですが)。4巻とも500ページ前後という大部ですが、一般の小説と比べると文字数がかなり少ないため、読むのは予想以上に楽です。ただし、ストーリーを追うのではなく、一連一連をじっくりと味わうというのが、真の楽しみ方でしょう。
ですので、これから紹介していくストーリー紹介だけでは、本作の真の姿をうかがい知ることはできず、実際に読んでみるしかないということになります(4巻を揃えると、新刊だと文庫本でも6000円を超えるので、ちと高い気はしますが)。

原書は、もともとは全12巻(各巻は12篇で構成されます)で構想されていたようですが、完成したのは6巻までで、その他に断片的な第7巻(の一部)が書かれています。このちくま文庫版第1巻は、原書の第1巻すべてと第2巻の第8篇までが収められています。

第1巻 赤十字の騎士の神聖の物語
主人公は、赤い十字のついた盾を持つ騎士で、後半で聖ジョージだと明かされます(当然、ドラゴンを退治します)。赤十字の騎士は、乙女ユーナ(両親はアダムとイブ)を伴い、最終的にはユーナの両親の城(つまりエデンの園)を脅かす竜を退治することを最終目的として旅を続けています。ふたりは、迷い込んだ森の洞窟で迷妄の怪獣を倒しますが、その後、偽善を象徴する老魔術師アーキメイゴーと虚偽を象徴する偽りの美女デュエッサの罠にかかってしまいます。美女デュエッサに騙された騎士は、ユーナが自分を裏切ったと思い込んで別れ、デュエッサの導きで冒険を続けますが、ついにデュエッサの恋人の巨人オーゴーリオーに打ち倒され、囚われの身となってしまいます。赤十字の騎士の運命を伝え聞いて悲しみに沈むユーナの前に現われたのは、妖精の騎士アーサーと従者ティミアスでした。事情を知ったアーサーは、ユーナと共に赤十字の騎士が囚われている城砦へ向かい、オーゴーリオーを倒し、デュエッサの虚偽の仮面をはがして醜い老婆という正体を暴露します。アーサーと友情の絆を結んだあと、赤十字の騎士はユーナに導かれて神聖の館で休養を取ると、最終目的である竜との戦いに赴き、ついに勝利を収めるのでした。

第2巻 サー・ガイアンの節制の物語
赤十字の騎士は再び妖精の女王のもとへ帰ろうとしますが、偽善の象徴アーキメイゴーは騎士に意趣返しをしようと考え、若き騎士サー・ガイアンに、赤十字の騎士がなした恥ずべき行為に関する偽りを吹き込んで、赤十字の騎士を襲わせようとしますが、すぐに誤解は解け、共に旅を続けます。その後、騎士モーダントの遺体の傍らで嘆いている乙女アメイヴィアを発見し、悪しき魔女アクレイジアの仕業と聞いたガイアンは、黒衣の巡礼を共として、アクレイジアを征伐すべく、魔女の住む“至福の園”に向かって旅立ちます。ガイアンは、欠如・中庸・過剰を象徴する三姉妹と出会い、中庸こそ肝要だと悟った後、旅を続けます。一方、諦めを知らないアーキメイゴーは、ほら吹き騎士ブラガドッチオと従者トロンパートを唆してガイアンに挑戦させようとしますが、森で美女ベルフィービーに出会います。ガイアンは、狂気、機会、争いといった敵と戦って倒し、パイロクリーズとカイモクリーズの兄弟と戦うことになりますが、ガイアンは至福の園から来た乙女フィードリアが操る舟に乗ってしまい、理性を曇らされて至福の園の内部を遍歴し、様々な欲望に出会うこととなります。そして戦いに敗れて気を失っているガイアンは、見知らぬ騎士(実はアーサー)に救われるのでした。

次巻へ続きます。

オススメ度:☆☆☆☆




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