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zoom RSS 島久平名作選 ☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/04/25 18:21   >>

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(島久平名作選 / 島 久平 / 河出文庫 2002)

河出文庫版「本格ミステリコレクション」の第5巻です。
作者の島久平さんは、大阪出身の探偵作家で、戦後間もない昭和20年台に活躍し、作品数は少ないながら、昭和50年代まで執筆を続けていたそうです。これまでアンソロジーの収録作品をいくつか読んでいましたが、まとまった作品集を読むのは初めてです。
レギュラー探偵の伝法義太郎は、大阪に事務所を構える元刑事の私立探偵(近藤青年と六郎少年という助手がいます)ですが、刑事時代の部下たちから現在も慕われており、現役の南刑事から非公式に捜査協力を頼まれることもしばしばです。彼が警察を辞めた理由は描かれていませんが、事件の真相を暴いても必ずしも犯人を警察に引き渡すことをせず、別の選択肢を与えてやるという姿勢を見る限り、冷たそうに見えて人情に篤い彼が警察のやり方に会わなかったことは十分に想像できます。
本書には、伝法探偵が活躍する作品を中心に、18の中短篇が収められています(伝法探偵が登場しないのは、中篇「悪魔の手」のみ)。

「街の殺人事件」:不意に喫茶店に入ってきて客を射殺した犯人は、あまりにも目立つ服装をしていました。

「雲の殺人事件」:殺された資産家の酒井は、生前、自分が殺されたら犯人を捕らえてほしいと伝法探偵に依頼していました。酒井が遺したダイイングメッセージから、伝法は犯人のアリバイトリックを暴きます。

「心の殺人事件」:府会議員の青木が密室で射殺され、死に際に犯人の名を漏らします。伝法探偵は、過去の複雑な人間関係を解き明かし、青木の娘に真相を告げます。

「夜の殺人事件」:伝法探偵の事務所を訪れた銀行の青年守衛は、不良の弟が仲間と自分の銀行を襲おうとしていると訴え、どうしたらよいかと相談してきます。その後、銀行が襲われて守衛が瀕死の重傷を負った知らせが、南刑事によってもたらされます。南刑事は伝法のアドバイスに従って犯人のアジトに乗り込みますが――。

「村の殺人事件」:避暑のために近藤青年の故郷の農村を訪れた伝法探偵に、近藤の従兄弟で探偵小説マニアの初吉が、村で発生したマムシを凶器に使った殺人事件の犯人を突き止めるよう訴えます。

「兇器」:とある女性のもとを訪れた伝法探偵は、雑談の中で、人を殺そうとするならば兇器は上手に選ばなければならないと話します。

「白い野獣」:夜の商売をしている男女が住むアパートでは、様々な男女の愛憎が渦巻いています。そんな中、殺人事件が発生しますが、有力な容疑者には鉄壁のアリバイがありました。

「男の曲」:複数の女性を恐喝していた男の殺害容疑で逮捕された山下氏は、弁護士の代わりに伝法探偵に自分の無実を証明してくれるよう依頼します。

「椿姫」:神戸の住宅街ですれ違った女性から酒場のマッチを渡されたことで、俊平は思わぬ犯罪事件に巻き込まれることになります。

「雁行くや」:複雑に絡み合った男女の愛憎が引き起した殺人事件に、伝法探偵がもたらした解決は――。

「わたしは飛ぶよ」:好きな相手との結婚を反対されて家出した奈良子の捜索を依頼された伝法探偵は、奈良子の友人知人を訪ね歩きます。奈良子が気が変になったと言う友人、そんなことはないという友人……伝法は見事に奈良子の行方を探し当てますが――。

「三文アリバイ」:資産家親子がルンペンに襲われ、息子は命を奪われます。生き残った父親の証言から、南刑事はドヤ街で暮らしているルンペンを容疑者として逮捕しますが、容疑者には強力なアリバイがありました。南刑事は伝法探偵に助けを求めます。

「犯罪の握手」:安アパートの一室で全裸の美女が毒を飲んで死んでいるのが発見されます。マスコミでも他殺説と自殺説が飛び交う中、警察は自殺と断定して事件に幕を下ろしますが、1年後、同じアパートでまたも同じ状況で全裸女性の変死事件が発生します。他殺説に固執していた新聞社の元編集長は、南刑事に伝法探偵を紹介されて意見を求めに行きますが、伝法は意外な推理を披露します。

「鋏」:天真爛漫な性格の玉江は、現在は別の男性と結婚しているにもかかわらず、別れた夫・良太郎の家を平気で訪ねていきます。遼太郎の現在の妻・啓子は、そんな玉江の行動が理解できません。ある日、良太郎の家からぷいと出て行ったまま、玉江は行方不明になってしまいます。現在の夫・酒井から玉江の捜索を依頼された伝法探偵は、浮世離れした玉江の行動を追って、とある文化サークルにたどり着きます。

「悪魔の愛情」:酒場のホステスと客をめぐる四角(いや、それ以上?)関係の末に、殺人事件が発生します。殺人を犯してまで成就したいと願う“悪魔の愛情”を抱いていたのは誰か――。

「5−1=4」:事務室にこもっていた悪徳弁護士・権藤が、他殺死体となって発見されます。犯人は、待合室にいた伝法探偵を含む5人の中にいるはずでした。容疑者は、いずれも権藤に恐喝されており(伝法は、被害者のひとり浅川の代理として交渉に来ていました)、動機も機会も存在しています。伝法は南刑事と協力して、犯人を追い詰めていきます。

「悪魔の手」:怪しげなブローカーで事務員をしている田中敏子は、新採用の外交員・三郎に惹かれます。消極的な二人は、なかなか進展しないままでしたが、互いに出した覚えのない奇妙な手紙が縁で、恋仲に発展します。ところが、ある日、呼び出されて敏子がホテルの一室に行ってみると、社長の妾がナイフで刺殺されており、傍らに三郎が呆然と立ち尽くしていました。三郎は「班員は自分じゃない、“悪魔の手”の仕業だ」という言葉を残して姿を消します。敏子は、母親の知り合いである若き占い師、品川光子に相談しますが、やがて未曽有の犯罪劇に巻き込まれていきます。

「女人三重奏」:新聞記者の小杉は、出社途中、女性が通りすがりの車の窓から硫酸をかけられた事件に遭遇します。女性が持っていた名刺から、宝石商の星原梅代の家を訪ねた小杉は、梅代が重い大理石製の置時計で撲殺されている現場を発見します。梅代の養女、赤いベレー帽をかぶった静子に惹かれる小杉ですが、静子は挙動不審で、母親殺しの第一容疑者でした。静子を救おうと、独自に調査を進める小杉は、殺された星原梅代が、硫酸をかけられた辰巳辰子、新劇女優の水木種子とともに、小説家・名和狂太郎の愛人だったことを突き止めますが、好色家の名和は、すでに静子に目をつけていました。小杉は、伝法探偵や南刑事と協力して、事件の謎を解こうとします。

オススメ度:☆☆☆




島久平名作選 5-1=4―本格ミステリコレクション〈5〉 (河出文庫)
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