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zoom RSS 火星鉄道一九 ☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2017/03/02 22:11   >>

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(火星鉄道一九 / 谷 甲州 / ハヤカワ文庫JA 1995)

谷さんの代表作『航空宇宙軍史』シリーズの1冊。こちらはハヤカワ文庫の旧バージョンですが、現在では同じハヤカワ文庫から完全版が出ていますので、入手しやすいでしょう。
以前、短篇集「仮装巡洋艦バシリスク」を読んでいますが、今回、シリーズを安く見つけてまとめ買いしたため、本シリーズがしばらく続きます(^^

航空宇宙軍史は、21世紀末から22世紀前半にかけて発生した、地球−月連合など内惑星系と、小惑星帯外縁部から木星系、土星系、天王星系まで広がる外惑星連合との対立と戦争(外惑星動乱)、および戦後の混乱、さらに未来の汎銀河文明との邂逅・恒星間戦争まで、太陽系宇宙を中心舞台としたポリティカル・戦争ハードSFシリーズです。航空宇宙軍自体は、内惑星系で結成された軍で、太陽系の秩序維持の名目で、内惑星から見れば反乱軍である外惑星連合との戦いに投入されます。しかし、シリーズの各作品は、必ずしも時系列的に書かれたわけではなく、全体の歴史の中での大小さまざまなエピソードを描き出し、それが積み重なって壮大な歴史絵巻が完成する、という構造になっているようです。視点も、航空宇宙軍だけでなく、外惑星連合側から描かれている作品もあります。
本書「火星鉄道一九」には、外惑星動乱の勃発から動乱の前半の時代のエピソードを描く短篇7作品が収められています。

「火星鉄道一九」:1987年の星雲賞受賞作。火星鉄道とは、地球のような地上の輸送交通機関ではなく、軌道上に飛翔体を発射したり、逆に軌道上から降下してくる飛翔体を着陸させたりするのに使用される軌道でした。地球−月連合を中心とする内惑星と外惑星連合との対立が高まる中、ついに外惑星連合が内惑星に奇襲攻撃をかけてきます。火星鉄道の一つ、M−RR−19にも、未確認の飛行物体が突入してきます。直撃を受ければ大被害は免れない中、大胆不敵なザナック中尉は、飛翔体を突入軌道からそらすべく、決死の突撃を敢行します。

「ドン亀野郎ども」:地球と月を中心とする内惑星系は、核融合エネルギー源となる重水素を、外惑星系に依存していました。木星系や土星系で採取された重水素は、タンカー(と呼ばれる大型貨物輸送宇宙船)に積まれ、2年以上をかけて水星軌道に達し、そこで回収されます。高木三曹は、タートルと呼ばれる鈍足のタグボートに乗って、タンカーを回収する作業についていましたが、発見したタンカーには異変が生じていました。外惑星連合による破壊工作が始まっていたのです。

「水星遊撃隊」:航空宇宙軍・水星根拠地隊に所属する哨戒部隊は水星遊撃隊と呼ばれており、外惑星動乱勃発とともに、その重要性が高まっていました。太陽をスイングバイして外惑星軌道に戻っていく外惑星連合の仮装巡洋艦を捕捉・攻撃することが遊撃隊の新たな任務でしたが、その任務を完遂するには水星宙域はあまりにも広大で、隊の哨戒艦の数は少なすぎました。哨戒艦の1隻を指揮する(とは言っても部下は一人だけですが)コックス大尉は、進入してくる外惑星連合の仮装巡洋艦を、1艦だけで迎撃するよう命じられます。情報によれば、仮装巡洋艦の艦名は“バシリスク”でした。バシリスクとコックス大尉との虚々実々の駆け引きが始まります。

「小惑星急行」:旧式艦だけを集めた航空宇宙軍の艦隊は、小惑星帯の外縁部近くを航行していました。付近に集結している外惑星連合の戦闘艦群の強行偵察を命じられていたのです。しかし、フリゲート艦ジェミニのクズネトゥフ少佐と広瀬少尉は、艦隊の任務はそれだけではないと考えていました。敵の機雷攻撃で旗艦オフィユキが破壊されたとき、艦隊本来の任務が明らかとなります。

「タイタン航空隊」:航空宇宙軍では、外惑星連合の居住惑星で唯一、濃密な大気を持つタイタン(土星の衛星)攻略のため、タイタンの大気圏を飛行して偵察・戦闘・爆撃を行う航空隊を創設していました。すべてシミュレーションのみで訓練を受けた淵田少佐ら4機のパイロットは、航空宇宙軍のタイタン攻略に先立って、首都プロメテウスを攻撃すべく、出撃していきます。先頭で偵察任務に就いていた淵田少佐(真珠湾攻撃の指揮官ではない(^^;)は、プロメテウスを飛び立ってきた敵戦闘機と一騎打ちをする羽目になってしまいます。

「土砂降り戦隊」:地球を発った大型輸送戦隊は、航空宇宙軍のフリゲート艦隊による強力な護衛を受けつつ、木星軌道上のトロヤ群に向けて航行していました。外惑星連合の戦闘艦隊から輸送船団を守るには、それだけ大規模の護衛艦隊が必要なわけです。その遥か後方を、故障で速度が落ちた輸送船G−19と4人乗りの小型砲艦レニー・ルークが追いかけています。やがて、前方の輸送船隊と護衛艦隊は敵艦隊の攻撃を受け、大打撃を受けます。後方のレニー・ルークも敵艦の接近を察知しますが、それは予想していた仮装巡洋艦ではなく、強力なフリゲート艦でした。火力では圧倒的に不利な中、レニー・ルークの川添少佐以下、歴戦の兵士たちは、奇策を駆使して互角以上の戦いを演じます。

「ソクラテスの孤独」:小惑星帯に散在する航空宇宙軍の通信基地の一つに一人で駐屯しているガルシア少尉は、暇に飽かしてコンピュータ内に人工知能を構築し、ソクラテスと名付けて会話を楽しんでいました。付近の宙域にばらまいた無人受信機の一部が不調になり、調査したガルシア少尉は、原因は、正体不明の宇宙船が射出した推進剤ガスだと気付きます。つい最近報告された外惑星連合のフリゲート艦に関係するものだとピンときた少尉は、ソクラテスに助言を求め、単身出撃を決意します。

オススメ度:☆☆☆☆




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