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zoom RSS オッド・ジョン ☆☆☆

<<   作成日時 : 2016/08/18 21:54   >>

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(オッド・ジョン / オラフ・ステープルドン / ハヤカワ文庫SF 1985)

ヴォークトの「スラン」、スタージョンの「人間以上」などと並ぶ、ミュータント・テーマの古典SFです。日本のSFで言えば、半村良さんの「岬一郎の抵抗」に近いテイストでしょうか。
タイトルの「オッド(odd)」は、「奇妙な、風変わりな」という意味の英語です。イギリスの片田舎で健康な両親のもと、ごく普通の兄と姉を持つ末っ子として生を受けたジョンは、発育不良の状態で生まれ、1年以上も人工保育器から出られませんでした。その後も肉体の成長はスムーズにはいかず、5歳になるまで歩くこともしゃべることもできませんでした。しかし、その頭脳の中では、なにかが急速に進行していたのです。
しゃべり始めた途端、周囲の事物に対する鋭い認識を示し始めたジョンは、家の中のあらゆる本を読み、数学に恐るべき天才の片りんを示します。さらに、手や指が使えるようになると、細かな技術工作にも素晴らしい天賦の才を発揮するのでした。そして、充分な成長を示さないため実年齢よりもかなり年下に見えるジョンは、保護者という名目で付き添う大人を隠れ蓑に、複雑怪奇な“世間”に直面し、様々な人物との会話から社会・経済・政治・倫理などを学びつつ、おのれの進む道を定めていきます。
このとき、ジョンの保護者として行動を共にしたのが、本社の語り手であるフィドーでした。彼は、ジョンの両親の親しい友人であり、その末っ子の“おかしなジョン”に深い関心を持っていました。狡猾なジョンは、自分に対するフィドーの関心と保護者意識を逆用して、世間と接するための媒体として大いに利用することにしたわけです。ジョンの天才的な頭脳が生み出した数々の発明品や実用新案は、フィドーの権利として実用化され、莫大な金銭的利益を継続して生み出すことになります。ジョンの壮大な構想を実現するには、無限の資産が必要なのでした。
世界では、ジョンと同じような超能力を持つ人々が少しずつ生まれていましたが、その多くが能力ゆえに孤立し、迫害され、すべてをネガティヴに考えるような邪悪な意識を持つに至った者も珍しくありません。そういった同類の意識を見つけ出し、意思疎通を図れるだけのテレパシーも、ジョンは発現させていました。フィドーとともに近場であるヨーロッパ各地や中近東に旅したジョンは、彼の言う“新人類”の同胞を見つけて、独自の精神的コミュニティを築き始めます。
やがて、ジョンのネットワークは世界中に広がり、ある面ではジョン以上の能力や経験を持った人々が、ジョンの構想に共鳴し、協力を申し出ます。ジョンは、一般社会から弾き出された新人類たちの楽園を作り出すべく、南洋の孤島を買い取り、少年少女を中心とした完全自給自足のユートピア建設を模索します。
しかし、ジョンの行動は先進各国政府の知るところとなり、英米や共産圏のエージェントが、新人類の超能力を軍事利用すべく、ジョンの島へ接近してきます。ジョンは、旧人類唯一の友人であるフィドーに後を託すと、予見した自らの運命に直面するのでした……。

オススメ度:☆☆☆





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