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zoom RSS 人間がいっぱい ☆☆☆

<<   作成日時 : 2012/09/19 20:29   >>

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(人間がいっぱい / ハリイ・ハリスン / ハヤカワ文庫SF 1986)

チャールトン・ヘストン主演の映画「ソイレント・グリーン」(1973年公開)の原作、という触れ込みだったのですが、背景となる世界と登場人物が一致しているだけで、ストーリーそのものは原作と映画でまったく違っていました。なにしろ、映画の大ネタである人間の●●を●●の●●にしてしまう、という設定が、小説にはまったく出てきません。

舞台は1999年のニューヨーク。この近未来の(もはや過去ですが(^^;)アメリカでは、急速な人口増に苦慮しており、食料も水もすべて配給制、住宅不足も深刻で、住むところを失った人々は地下鉄校内や公園、ハドソン川のボートハウスなどでホームレス生活を送っています。一方、ごく一部の資本家など特権階級は、高層ビルの高級アパートメントで贅沢な暮らしをしていました。
くいっぱぐれた中国人少年ビリー・チュンは、電報配達人のアルバイトにありつきましたが、たまたま届け先だった高級アパートメントの警備装置が故障していたのに気付き、金めのものを求めて夜中に忍び込みます。昼間に垣間見た若い女性のヌードに目がくらんだためでもありました。その部屋は、政治の裏社会や暗黒街にも関係がある実業家オブライエンの住居で、気立てのいい美貌の愛人シャール(ビリーが見たのはシャールでした)と暮らしています。たまたまシャールは外出しており、忍び込んだビリーは物色しているうちに、シャワー室から出てきたオブライエンと顔を突き合わせ、逃げようとして夢中で刺し殺してしまいます。
この殺人事件の捜査を担当したのは、ニューヨーク市警のアンドルー・ラッシュ刑事でした。ラッシュは平均的な独身刑事で、変わり者で物知りのソロモン(ソル)老人とボロアパートでルームシェアしながら、かつかつの生活をしていました。単なる殺人事件ならば、通り一遍の捜査でお茶を濁して迷宮入り、というパターンでしたが、被害者が被害者だけに、警察上層部に圧力がかかり、ラッシュは上司から絶対に犯人を見つけて解決するようにと厳命されてしまいます。事情聴取するうちに、ラッシュはシャールに惹かれるのでした。
シャールも、オブライエンの遺族から部屋を明け渡すよう命令されており、結局はラッシュのアパートに転がり込むことになります。ボロアパートの部屋で配給を受けつつ、偏屈な老人ソルと共同生活するというのは、金持ちのオブライエンに囲われて上流の生活をしてきたシャールには厳しいものでしたが、最初はラッシュといるだけでシャールは幸福でした。しかし、事件に追われてラッシュが家を空けることが多く、生活苦がいや増すにつれて、生まれも育ちも全く異なるふたりの間に隙間風が吹き始めます。
一方、逃亡を続けていたビリーは、立ち入り禁止となっている廃棄された軍事施設に入り込み、キリスト教原理主義者のピーターに拾われて、なんとか生き長らえていました。しかし、施設内に隠れ住む連中同士の縄張り争いがあり、二人は安住の地を奪われて、外の世界へ逃げ出さざるを得なくなります。
水不足や食糧不足はますます厳しくなり、ニューヨーク市内は戒厳令も同然の状態となり、あちこちで食料をめぐる暴動が発生します。ラッシュも24時間体制で勤務につき、アパートに戻っても短時間眠るだけで、シャールと話している暇もありません。やがて、デモに出かけたソル老人が瀕死の重傷を負って戻り、3人の生活に、いよいよ危機が迫ります。このような緊迫した状況でも、オブライエン殺人事件の捜査は続き(今や担当はラッシュひとり)、凶器に残された指紋からビリー・チュンが犯人だと判明したため、ラッシュはチュンの家族が住んでいたボートハウスに目を付けていました。ようやく事件を解決したものの、捜査命令を下した“上層部”の関心は別のところに移っており、ラッシュは称賛されるどころか、降格の憂き目にあってしまいます・・・。

救いのないストーリーとラストですが、ハリスンが予想した未来よりも、まだ現実の方がましだったことは、ありがたく思わないといけないのでしょう。そして、このような未来が遅れてやってこないよう、努力しなければなりませんね。

オススメ度:☆☆☆





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