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zoom RSS 羊たちの沈黙 ☆☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2010/06/08 19:52   >>

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(羊たちの沈黙 / トマス・ハリス / 新潮文庫 2003)

なぜ今ごろになって読んでいるのかというと、「ブームに乗せられるのがイヤ」という我儘な理由なわけですが、もっと早く読んでおけばよかったです。映画化されたのも、ブームになったのも、納得できます――こりゃ傑作だ。

若い女性を誘拐しては、殺して皮を剥いだ死体を捨てるという連続猟奇殺人犯が、全米を震撼させていました。マスコミは“バッファロウ・ビル”というニックネームを付けて煽り立てますが、警察は有力な手がかりをまったくつかんでいません。FBI行動科学課の課長ジャック・クローフォドは、犯人は明らかにサイコパスだという前提から、拘留中のサイコパスの犯罪者たちを分析すれば、“バッファロウ・ビル”のプロファイリングに役立つのではないかと考え、調査を実行に移します。しかし、スタッフが人手不足だったため、FBIアカデミーの訓練生で、行動科学課への配属を希望していた成績優秀なクラリス・スターリングをスカウトし、筋金入りのサイコパス、ハニバル・レクター博士の調査に送り込むことになります。ハニバル(他の作品では「ハンニバル」ですが、本作では「カニバル(人食い)」との語呂合わせで「ハニバル」という表記になっています)は、天才的な頭脳を持つ元精神科医ですが、9人の人間を殺しており、現在はボルティモア州の精神異常犯罪者専用の病院に厳重に拘禁されています。
誰ともまともに心を通わせようとしないレクターですが、些細なきっかけからスターリングにはわずかに心を開き、“バッファロウ・ビル”の犯罪に関して、謎めいた助言を与えます。その言葉に基づいて、レクターが殺した被害者のひとりラスペイルの遺品を調査したスターリングは、倉庫の奥にしまわれていた車の後部座席から、ホルマリン漬けの男の生首を発見します。さらに、“バッファロウ・ビル”の最新の被害女性の解剖に立ち会ったスターリングは、被害者の咽喉の奥から、そこにあるはずのない昆虫の蛹を見つけます。
一方、“バッファロウ・ビル”がたまたま次の餌食に選んだのは、合衆国上院議員の一人娘キャザリンでした。彼はキャザリンを誘拐して、自宅の井戸の底に監禁します。キャザリンの母親マーティン上院議員は、あらゆる手段を使い、捜査当局に圧力をかけてきます。クローフォドは、再びスターリングに命じてレクターへのインタビューを試みますが、功名心にかられた病院長チルトン博士の介入で、事態は思わぬ方向へ転がっていきます。自惚れの強い下衆野郎(前作「レッド・ドラゴン」にも、似たようなタイプの新聞記者が出てきましたな)のチルトンは、スターリングとレクター博士の会話を盗聴した結果、レクターが“バッファロウ・ビル”の正体を知っているという結論に達し、上院議員に取り入ってレクターとの取引を持ちかけ、すべてを自分の手柄にしようとします。しかし、レクターは一枚も二枚も上手でした。千載一遇のチャンスを利用して、レクターは考え抜いた脱走計画を実行に移します。
その一方では、犯人のおぞましい動機が明らかにされ(このテーマでは避けられないことですが、やはり「サイコ」の影響を受けていることは否めません)、キャザリンの命は風前の灯となります。ですが、クローフォドしか味方がいない警察機構の中で、孤独にレクターが与えたヒントを追うスターリングは、ついに決定的な手がかりにたどり着きます・・・。

読者に対しては、中盤で“バッファロウ・ビル”の本名が明かされてしまうため、犯人探しの謎解きミステリとは言えませんが、ヒロインのクラリス・スターリング(映画は見ていませんが、どうしてもジョディ・フォスターのイメージとかぶってしまいます。でもジョディはイメージ通りの適役だと思います)とクローフォド、警察スタッフたちの働きは一級の警察小説ですし、レクターの言動や“バッファロウ・ビル”の行動と心理描写は一流のサイコサスペンスです。総合的に見て、非常に優れたミステリでもあり、モダンホラーでもあると言えるでしょう。

オススメ度:☆☆☆☆☆






羊たちの沈黙 (新潮文庫)
新潮社
トマス ハリス

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