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(大魔王の逆襲 / テリー・ブルックス / ハヤカワ文庫FT 2004) 異世界ファンタジー『ランドオーヴァー』のシリーズ第4巻です。 冒頭は、こちら側の世界から始まります。ホリス・キューは、20年前にランドオーヴァーを追放されたB級魔術師ですが、架空の賢者スカット・マンデュを捏造して信者を集め、巨万の富を築いていました。しかし、ホリスの魔術は最終的にはうまくいかずに手痛いしっぺ返しとなって戻ってくるという厄介なもので、今回も相棒の知性あるムクドリ、ビガーがすべてを曝露してしまい、ホリスは怒り狂った信者に追い詰められます。ビガーのアドバイスで、宝物にしていた魔法の箱に呪文を唱えたホリスは、気がつくとランドオーヴァーに戻っていましたが、魔法の箱から解放された大魔王ゴースも一緒でした。 はるかな過去に、妖精たちの手で魔法の箱に封印されたゴースは、復讐に燃えており、手始めにホリスを手先に使ってランドオーヴァーを破滅させようとします。そのために邪魔なのは、現国王のベン・ホリディ、魔女のナイトシェイド、ドラゴンのストラボでした。偽手紙で3人(?)を呼び出したゴースは、魔法を使ってまとめて妖精の箱に封じ込めてしまいます。ベン、ナイトシェイド、ストラボは記憶とアイデンティティを失い、それぞれ“騎士”、“貴婦人”、“ガーゴイル”となって、箱の中のラビリンスをさまようことになります。 一方、ベンの妻となったウィローは、妖精の予言どおり自分とベンの子を身ごもったことを悟り、アドバイスを求めて、ひとり“大地の母”に会いに出かけていました。“大地の母”は、問題なく子供を産むためには、ランドオーヴァーとベンの世界、それに妖精の霧の世界という3箇所から土を集めて、そこに根を下ろさねばならないと告げます。ウィローはそれに従い、プリズム猫のエッジウッド・ダーク(「黒いユニコーン」で、城を追放されたベンの道連れとなった、あの謎めいた猫です)と一緒に、3つの世界を巡る旅に出ることになります。 ベンとウィローのふたりが行方不明になってしまった城では、書記官のアバーナシイと宮廷魔術師クエスター・スーズが善後策を練っていましたが、そこにゴースの命を受けたホリスが現れます。“心の目の水晶”という魔法アイテムを大量に持ち込んできたわけですが、この水晶、覗き込んだ者の願望を見せるというもので、試しに除いてみたアバーナシイは、自分が人間に戻った姿を見て夢中になってしまいます。考えようによっては、ザンスの「催眠ひょうたん」にも似た厄介な代物ですが、ホリスは、ランドオーヴァーの全住民に王の名で水晶を配布するよう勧め、クエスターも承知してしまいます。しかし、もちろんこれは、住民を水晶に夢中にさせて行政や産業を停滞させてしまおうとするゴースの企みでした。 箱の中のラビリンスでは、出口を求めて3人が冒険の旅を続けていましたが、あろうことか、最初はいがみあっていた“騎士”と“貴婦人”が、恋仲になってしまいます。このまま3人はラビリンスに閉じ込められたままなのか――。脱出の鍵は、意外にも、妖精の霧の中でビジョンに取り込まれてしまいそうになったウィローが握っていました。 前作「魔術師の大失敗」と同様、ラビリンスの中のベンたち、ウィローとエッジウッド・ダーク、アバーナシイとクエスターという三者三様の物語が交互に語られ、クライマックスに向かって収斂していきます。相変わらずテンポが良く、途中で本を置くことができません。小心でずる賢いトラブルメーカーでありながら、どこか憎めないホリス・キューが、最後に思いもかけない活躍を見せます。 オススメ度:☆☆☆☆ |
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