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zoom RSS ラモックス ☆☆☆☆☆

<<   作成日時 : 2010/01/30 19:30   >>

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(ラモックス / ロバート・A・ハインライン / 創元SF文庫 2003)

まずは、その厚さに驚きました(笑)。ジュブナイル版の「宇宙怪獣ラモックス」(福島正実訳)は、半分以下の厚さしかなかったのに、原書はこれだけのボリュームがあるものだったのですね。今回の翻訳者・大森望さんが書かれているように、初の完訳版ですから、じっくりと読めると思います。

超光速飛行技術が確立され、人類が数百光年先の宇宙にまで進出している未来。アメリカはロッキー山脈にほど近い田舎町ウェストヴィルで母親と二人暮しの高校生、ジョン・トマス・スチュアート11世(名前からわかる通り、先祖には、高名な大人物が名を連ねる名門の血筋です)は、ラモックス(のろま)という名の宇宙生物を飼っていました。ラモックスは、人類初の超光速宇宙旅行を敢行した曽祖父が、とある惑星から拾ってきた生物で、もう120年近くスチュアート家で暮らしています。8本足で歩くもこもこした生き物(実在の生物に例えると、寸詰まりで肥満体のカギムシ?)で、何でも食べ、人間の言葉を解して簡単な会話もできます。しかも、強靭な身体は銃弾も効かないという、ほぼ不死身で、寿命は見当もつきません。地球に来た当初は仔犬くらいの大きさでしたが、今やゾウをもしのぐ体長に成長し、ジョン・トマスの母親は持て余しています。
高校卒業を間近に控えたジョンは、ガールフレンドのベティとデートに忙しく、あまりラモックスをかまってやれません。退屈したラモックスは、ジョンの言いつけを破って、ちょっと外出することにします。しかし、ウェストヴィルの住民は、ラモックスのことなど知らず、その巨体が現れただけで大パニックが発生してしまいます。幸い、けが人はありませんでしたが、ジョン・トマスは大目玉をくらい、さらに悪いことには、異星生物に関係することをすべて管轄する、連邦政府宙務省の高官までが、調査に乗り込んできます。
開かれた公聴会(という名の裁判)では、ラモックスを始末しろという物騒な動議も出されますが、弁護人を買って出たベティの機転と、宙務省のグリーンバーグの臨機応変の対応で、どうにか事態は収拾するかに思えましたが、ジョン・トマスを心配したラモックスが鋼鉄製の檻を破って助けに飛び込んできたせいで、大混乱のうちに終ります。母にプレッシャーをかけられて、一度はラモックスを異星生物研究所に売ることに同意したジョン・トマスですが、やはり思い切ることはできず、家出をして、ラモックスと共にロッキー山中へ身を隠します。
一方、グリーンバーグの上司で宙務省常任次官(つまり官僚のトップですな)のヘンリー・キクは、厄介な問題に直面していました。フロシー人と名乗る未知の異星人の宇宙艦が太陽系に飛来し、地球人が連れ去ったというフロシー人の女の子を返せというのです。調査の結果、そのような事実は確認できなかったばかりでなく、フロシー人との仲介役兼通訳を務めるラージル人は、髪の毛の代わりに無数のヘビが生えているメデューサ型のヒューマノイドで、ヘビ恐怖症のキクは、ラージル人通訳のフテイムル博士に会う度に、催眠療法や精神安定剤の世話にならなければならない始末。しかも、フテイムル博士の言葉を信じるならば、フロシー人は地球など一瞬で壊滅させてしまえる武力を有しています。しかし、フロシー人の母星の位置を調査した結果、そこを訪れた可能性のある地球の宇宙船が一隻だけ確認されました。それは、ジョン・トマスの曽祖父の乗った人類初の超光速宇宙船でした。だとすれば、フロシー人が探している、地球人が連れ去った“女の子”とは――?

ジュブナイルとして書かれたと言われているとはいえ、人類=フロシー戦争(たぶん、戦端を開けば一瞬のうちに勝負がつくでしょうが)を避けるために、外交手腕のすべてを尽くすキク次官が、とてつもなくカッコイイです。 特に、クライマックス近く、旧知の広報担当補佐官と一緒に、煮え切らない長官をつるし上げる場面は、西部劇の保安官と相棒が、体面ばかりを気にする町長に焼きを入れるシーンそのものですし、これまたラスト近くでキクとフテイムル博士が心からの友情を確かめ合う場面は「カサブランカ」のラストシーンを思い起こさせます’(ほめ過ぎ?)。
主人公(のはず)のジョン・トマスは、平均的な高校生ですが、成長して“おませ度”を増したポドケイン(「天翔る少女」の主人公)といった風情のベティも、存在感が際立っています。

オススメ度:☆☆☆☆☆






ラモックス―ザ・スタービースト (創元SF文庫 (618-8))
東京創元社
ロバート A. ハインライン

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
実はキク氏が影の主役だと思います(笑)。

表紙のラモックスがとってもカワイイですよね(力説)。
同じように『何でも食べちゃう』生き物でも、「ひる」@ロバート・シェクリイとは大違い(爆)。
rubicon
2010/01/31 10:43
rubikonさま
コメントありがとうございます〜。
キクさん(←これだと、お皿でも数えていそうですが(^^;)は、南アのマンデラ元大統領をイメージして読んでいました。
○に
2010/01/31 20:43

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