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zoom RSS 時間線を遡って

<<   作成日時 : 2008/06/21 22:50   >>

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時間線を遡って (創元SF文庫) / ロバート・シルヴァーバーグ / 創元SF文庫 2001)

シルヴァーバーグ中期の代表作で、時間旅行テーマのSFの古典のひとつです。読み落としていたのを、初めて読むことができました。
21世紀後半、時間旅行技術が確立された世界は、合法ドラッグと遺伝子改変が幅を利かせ、人々はフリーセックスを謳歌しているという、電脳世界のないサイバーパンク(笑)のような場所です。由緒ある血筋の持ち主ジャッド・エリオットは、コネでありついた仕事に飽きが来て逃げ出し、たどりついたニューオーリンズで知り合った黒人サムの助言で、“時間サーヴィス公社”に随伴ガイドの職を得ます。
腰につけたタイマーを操作するだけで、誰でも過去へ時間遡行ができ、歴史的出来事を生で目撃したいという観光客が後を絶ちません。そんなニーズに応えてツアーを企画運営するのが“時間サーヴィス公社”で、ツアーコンダクター役を務めるのが随伴ガイドです。事故が起きないようにお客を管理して(タイマーを操作できるのはガイドだけです)現地での安全に気を配るガイドの仕事は激務で、適性を問われますが、幸いジャッドは合格します。公社にはもうひとつ、時間パトロール部門があって、こちらは「タイム・パトロール」よろしく、歴史改変を防ぎ、不幸にも改変が発生してしまった場合には原因を排除して歴史を現状復帰させる任務を負っています。
時間旅行テーマにつきもののタイムパラドックスについても詳しく考えられていて、過去のある時点に次々と未来からの旅行者が集まってしまう「累積パラドックス」や、出発した時間線の位置によって人間関係が変わってしまう「不連続パラドックス」などが想定されていますが、これらのパラドックスがストーリーに大きく関わってきます。とはいえ、パラドックスの設定がある程度ルーズなのも、フィクションとしての必然でしょう。「時間パトロールは大きな歴史修正だけで手一杯なんだ」という登場人物のセリフは、いかにもリアルです。
なんとか随伴ガイドとしてひとり立ちしたジャッドは、学生時代にビザンチン帝国の歴史を研究していたのが縁で、コンスタンチノープル(ビザンチウム)の歴史旅行を担当するようになります。21世紀の性を謳歌するジャッドは、過去でも行きずりの情事に精を出し、ついには先輩メタクサスの手引きでユスティニアヌス帝の皇后テオドラとまで事に及んでしまいます。ところが、伝説的なガイドのメタクサスは、もっととんでもない壮大な計画を実行いています。それは、自分の先祖に当たる女性を見つけ出しては、手当たり次第に関係を持つというアブノーマルなもの。その影響を受けたジャッドも、自分の過去の系図を調べ始め、12世紀初頭のビザンチウムの名家デューカス家まで遡り、ついに祖先である絶世の美女パルケリアと運命的な出会いを果たします。予知能力のある女性に「ビザンチウムで恋をすれば、危険に陥ることになる」と予言されていたにもかかわらず・・・。
パルケリアへの想いと、近親相姦的タブーの板挟みに苦悩するジャッドですが、ついに――。その結果、ジャッドを待っていたのは思いもかけぬ運命でした。
紹介文には「全篇にまたがる克明なセックス描写」と書いてありますが、そちらを期待すると当てがはずれることになると思います。楽しむべきは、時間テーマの娯楽SFとしての抜群の面白さです。

オススメ度:☆☆☆☆
時間線を遡って (創元SF文庫)

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