イクシーの書庫

アクセスカウンタ

zoom RSS 鋼鉄都市

<<   作成日時 : 2006/07/10 18:27   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

鋼鉄都市 / アイザック・アシモフ / ハヤカワ文庫SF 2000)

アシモフの代表的SFシリーズといえば、はるか未来の銀河帝国の興亡を描いた『ファウンデーション』シリーズが第一に挙げられますが、それに匹敵するもうひとつのシリーズが、かの有名な「ロボット工学の三原則」に基いて書き進められた『陽電子ロボット』シリーズ。なんと、このふたつのシリーズは最後にコラボしてしまうわけですが、それはまた別の話です。
さて、『ファウンデーション』シリーズは、高校時代に創元推理文庫で最初の三部作を読んで以来、すべてを読みつくしました(他のSF作家によって書き継がれた分は未読)が、ロボット関係のシリーズは第一短篇集「わたしはロボット」(創元SF文庫。ハヤカワ文庫では「われはロボット」)を読んだだけでした。この「鋼鉄都市」はロボット関連の長篇第1作です。
舞台は30世紀の地球。世界人口は80億を数え(意外と少ないですな)、かれらは完全管理社会のもと、最低限の生活を保障されるかわりに、鋼鉄とコンクリートで作られたドーム都市の画一的で狭いスペースで暮らし、まずい合成食糧の配給を受け、出産制限や様々な生活制限を余儀なくされていました。一方、宇宙人(異星人ではなく、過去に地球から外宇宙へ植民した人類の子孫)は地球よりも進んだ科学技術を持ち、優れたロボットを開発して使用していました。宇宙人の影響から、地球でも単純労働をこなすロボットが導入され、各所で働いていますが、ロボットに職場を奪われた人々を中心に不満がくすぶっていました。
そんな時、ニューヨーク・シティ警察に務める刑事のイライジャ・ベイリは総監に呼ばれ、宇宙人の居住区で起きた殺人事件の捜査を指令されます。高名なロボット学者が射殺された事件を、ベイリと協力して捜査するために宇宙人側から派遣されてきたのは、人間そっくりの姿をした高度なロボット、ダニール・オリヴォーでした。
ふたりはさっそく、ショッピングセンターで発生した暴動に遭遇しますが、ダニールは沈着な行動で暴徒を鎮めてしまいます。地球人の例にもれず、ロボットに対して本能的な反感を持つベイリは、妻子がいる自宅にダニールを同居させなければならないことに苦悩しますが、ダニールはそつなく行動します。
常に論理的で冷静な(ロボットだから当たり前)ダニールの態度に反発しながらも、刑事としてのプロ意識で押し殺し、協力しながらふたりは捜査を続けます。ベイリ自身も現場となった宇宙市に乗り込むなど、苦悩を押し隠して積極的に行動するうちに、ベイリも宇宙人の立場を徐々に理解してきます。そして、浮かび上がってきたのは、宇宙人やロボットのみならず管理社会への不満を抱えた過激な懐古主義者のグループでした。
未来社会を舞台にした本格SFでありながら、本作は謎解きミステリの要素もすべて備えています。あらゆる手掛かりはフェアプレイに則って提示され、消えた武器のトリックや意外な犯人など、ミステリ作家でもあるアシモフの面目躍如たるものがあります。また、舞台設定やキャラクター造型など、ジョン・ボールの名作「夜の熱気の中で」(「夜の大捜査線」として映画化されていますね)のSF版と言えるかも知れません。ロボット(黒人)であることが激しい嫌悪と差別を受けるニューヨーク・シティ(南部の田舎町)で、ロボット刑事ダニール(黒人刑事バージル・ティッブス)が孤軍奮闘し、最初は偏見を持っていたベイリ(署長)がだんだんと信頼感を抱いて偏見を解いていく――読み比べてみると、非常に興味深いかも知れません(カッコ内は「夜の熱気の中で」の設定)。

オススメ度:☆☆☆☆
鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
鋼鉄都市 イクシーの書庫/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる